ソシラボ風雲録~ゼロカラカンパニー代表 月岡彦穂 さん編~
「音楽を諦められなかった男が文化を作る野望に燃える」
ゼロカラカンパニー代表(DTMのオンラインレッスン、DTMユーザーの定期演奏会、DTMユーザーのコミュニティ運営)月岡彦穂さん
「発表するのは簡単、聞いてもらうのは困難」
今、作曲は言ってみれば誰でもできるんです。教わればソフトで作れてしまう。そしてYouTubeなどのネット環境がありますから誰でも発表できるんです。作ることと発表することはとても簡単になっています。
ところが、「曲を作りました。聞いてください」ってネットにアップしたとします。再生回数どれくらいだと思います?普通の人ならだいたい5〜6回と言ったところでしょう。100回再生されるとしたらこれは奇跡的です。作ること、発表することのハードルは下がった。けれども聞いてもらうことがものすごく難しくなったんです。
誰でも作曲はできるようになりましたが、そのクオリティも高いんです。音楽ソフトを使用するからでもありますが、100点満点で60点くらいのいい曲が作れます。駄作はあまりない。なので、その曲が好きな人って絶対出てくるんですよ、たくさんの人が聞けば聞くほど。逆に誰も聞いてくれないとどうなるかと言うと、心折れちゃいます。当然ですよね。そうなって欲しくないから僕は、ソフトでの作曲を教えながら、作った曲を聞き合うコミュニティを作りました。それがゼロカラシティです。このお話をさせてもらっている今も、そのコミュニティでは自分たちの作った音楽を互いに聴き合っています。一年中その中で「いいな」と感じる曲や作曲者のファンが刻々と生まれているんです。
「戦うための居場所がソシラボでした」
新型コロナウイルスのせいで仕事も何もかもオンラインばかりになってしまい、それなら、と、学生時代を過ごした仙台に2020年にやってきました。仙台に来たことは大成功でしたね。とはいえ、戦うためにやってきたつもりでしたから、自分のベース、居場所をまず探して、見つけたのがソシラボでした。
あらゆるコワーキングスペースに行ったんです。その中でもソシラボが一番良かったですね。まず入りやすい。全体が見渡せる感覚が好きです。仕事をしていても、気が乗らない時には村上さんとかが察知して話しかけてくる。集中している時には集中できる場所でもある。専門学校の講師もしているんですけど、その仕事のきっかけもここからでした。何かが動き出す場所ですね。駆け出しの人の駆け込み寺と言えるかもしれません。
「音楽を一生楽しんでいく文化を自分は作りたい」
音楽でメシを食っていきたいとずっと思っていました。だけど音楽をただ奏でて食っていける人にはなれなかった。そうこうするうちに音楽ソフトで作曲を教えるということを始めたんです。自分は教えることは得意ですし、そこには確実な需要があるとわかっていました。誰だってせっかく作ったら発表したい。発表したら聞いてもらいたい。けれどもそこにはハードルがある。だからゼロカラコンピというものを作ったわけですが、そこでは参加者同士で曲を聴き合ったり、アドバイスをしあったり、参加者同士のコラボレーションも行えます。年齢層は幅広く、学生さんをはじめ、会社をリタイアした方が第二の人生として、文字通り打ち込んでいる人もいます。
音楽を始めた人には、続けてほしいんです。その音楽をみんなに聞かせてほしい。そしてファンもついてほしい。音楽作りのサポートをしていますけど、「メジャーデビュー叶えます」みたいな話じゃなくて、音楽を作ったらこうやって楽しみ続けていくんだ、という文化を自分は作り出したいんです。なんなら自分が死んでしまった後にそれが叶ったっていい。こういうことを続けることで盛り上がっていく、音楽をやめてしまわないで済む、救われる人が増える。そのためにはまだまだ仕組みを作ってまだまだイベントをしたり、生まれたアイディアを片っ端から実行していきますよ。あ、それから本書きたいです。Cubaseを使った作曲の本。自分ならいい本が書けますよ!
ゼロカラカンパニーURL https://zerokaracompany.com/
チャンネル登録者2万人を超えるYouTubeチャンネルでは、DTMに関する豊富な無料コンテンツをお届けしています。
https://www.youtube.com/@zerokaracompany
村上’s Eye
月岡さんがソシラボに来たのはちょうどコロナになったばかりの頃で、イベントやお客さんも少なくなってしまい、やっと築いたコミュニティも一旦途切れた気がしていましたがコロナがあったからこそソシラボで出会えたんですね。
作曲やYouTubeなど私の身近にない世界。月岡さんのおかげで知ることができました。もっともっと皆さんにも月岡さんのことを知ってほしいと思っています。
行政書士ワンポイントコラムその1
こんにちは!この「ソシラボ風雲録」をまとめさせていただいている行政書士/ライターの吉田由香です。行政書士って何する人?ってよく言われますが、基本的には書類作りの専門家です。個人事業主の方には、新型コロナの補助金などの書類作りでご用命いただいたり、事業計画書など作らせていただいたりしています。
取材・文 : 吉田 由香 さん (ライター/行政書士)y.yoshida921@gmail.com