ソシラボ風雲録~つなたく代表 なかにしゆり さん編~

なげたい・つたえたい・つくりだしたい
新しいモノゴトを伝えるため走っています!

つなたく代表
NPO法⼈⽇本ファシリテーション協会理事
⼀般社団法⼈Society 5.0振興協会 組織・⼈材開発担当委員
共創ファシリテーター/講師
SDGsゲーム認定ファシリテーター
SDGs事業コンサルタント

なかにし ゆり さん

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【地域の課題解決に取り組む公務員でした。】

仙台市役所で30年近く仕事をしてきました。主に関わったのはまちづくり。課題意識をきちんと持っている方たちで話し合いを持っても、上手くいかないのはなぜだろうと考える中、ファシリテーションという存在に出会いました。ちょうどその頃に仙台でもNPO法人日本ファシリテーション協会(FAJ)の学びの場が始まっていましたので、継続的に学ぶこととなりました。2010年の春からはFAJの運営に参画することになり、全国スタッフ会議に参加した時に、様々な職種や立場でファシリテーションを学ぶ人々と出会い、視野が非常に広がったように思います。

東日本大震災は、皆さん同様私にもとても大きな出来事でした。震災後は残業残業の日々。ボランティアに行きたくても仕事が山積みの毎日でした。震災前には、環境局でごみの有料化という大きなミッションに取り組み、2012年からは経済局で今の「アシスタ」の前身となる起業支援やビジネス支援に取り組み、次に介護保険の部署など、様々な部署での仕事をしながら、兼業でファシリテーターの講師業も始めていました。以前から感じていた役所の中にいることでの身動きの取れなさ、できるはずのことができないもどかしさを強く感じるようになったのはその頃でしょうか。
行政は課題がどこにあるかを知り、伝えることはできる。けれども企業が何か行動するだけで社会が変わることもひしひしと感じていました。そして2017年3月市役所を退職。共創ファシリテーター・講師として起業。代表をつとめる「つなたく」の名前に「つなぐ・つたえる・つくりだす」という思いを込めて活動を開始しました。

※ ファシリテーター = 「何かをしやすくする人」。会議でいえば「進行役」。物事の段取りを決めたり、その場の意見を調整したりするスキルとマインドを持つ。ゴールに向かっていくために目配りする役割。

【共創ファシリテーターとして、SDGsのファシリテーターとして】

共創とは文字どおり「共に創る」という意味。「地域課題を解決する」ために、ファシリテーションや課題解決の講座を幅広く始めました。アイデアの出し方や、会議の進め方、チーム構築の方法、モチベーションアップ、防災講座など、お声掛けいただいた団体のニーズに合わせ、講義ではなくワークショップ方式で様々な講座をするようになりました。
そんな頃に出会ったのがSDGsという概念です。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」の略。環境問題に関心が高かった私には、理想の社会を作っていくためのアクションを起こしたいと思う時、具体的な数値目標を持ってお話しができることは、より企業に理解を求めやすいと考えました。SDGsは社会全体にわかりやすい共通言語。行政、市民、企業など多様な立場の人たちが、同じ言葉で意識を合わせることができるのです。
このSDGsという概念をよりわかりやすく知ってもらうためのカードゲームファシリテーターとしての活動を2017年の末に開始。学校や企業での開催に、お声がかかるようになりました。今ではSDGs推進のためのファシリテーターやコンサルティングの活動のボリュームが、かなり大きくなっています。何より震災を経験した自分には「誰一人取り残さない」というSDGsの考え方が胸に響くのです。

【SDGsの理念を「ビジネス」を通して社会で実現するために】

SDGsで大切にしたい理念を伝えたとして、その先にはやはり現実的具体的な新事業が生まれてこないと実効性がありませんよね。一般社団法人Society 5.0振興協会は、SDGsの達成に向けての課題をAIやIoT、ブロックチェーンといった最新テクノロジーを使って解決できる社会を目指す団体です。私はそこで、組織・人材開発担当委員として、最新技術を利用した新事業を創出するための研修講師をしています。
理念の部分はSDGs、それを実行するための道具としてのSociety 5.0。しかしそれらを実際に動かしていくためには、土台となる組織の変革が必要不可欠です。人と組織が絶えず行動の目的意識を持ち成長し、成長が意識をさらに高めるような組織−「学習する組織(ピーター・センゲ著)」というのですが−既存の組織がそうなっていくための講師活動も行なっています。目指すは組織人一人ひとりが、個々人の想いを掘り下げて、仕事にプライドを持ちながら、その仕事が自分自身の本当に大切にしているものと関連していると気付け、組織全体として前に進んでいける状態です。
ビジネスって、人が生きやすくなるための活動だと思うんです。ビジネスが回ると、気がついた頃には人や社会が豊かになっている。そういう仕事なら、自分の仕事が誇りに思えるじゃないですか。1日の多くの時間を仕事に割いているわけですから、そうなったら個人個人も幸せになれますよね。まちづくりの課題、共に創るという発想を経て、たどり着いたのはやはり「豊かな世界を作る」ということなんですね。もちろん豊かさは一人ひとり違うもの。一人ひとりの違いを認識することで、集団をよりよくするダイバーシティやアンコンシャスバイアス(自分では気がつかない思い込み)についても講師としてお伝えしています。

ソシラボとは、ここを立ち上げるグループができた頃からのお付き合いです。その頃はまだ勤め人だったので、フリーになった時に「使える身になったよ」なんて言いましたね。オフィスのない自分には気軽に来ることができる場所。そしてここで知り合った人も、ここから動き出したプランも多く、私にとっては「いい気の流れている場所」なんです。現在自主勉強会も開いています。組織が良くなる勉強会を始め、ファシリテーションや自分探究など、様々な講座を企画しています。「つなたく」のFacebookページでも案内しています。一緒に学びましょう!

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【村上’s Eye】
 すごい経歴をお持ちで、様々な活動をしているゆりさんのことを、風雲録で読めたらな、というのがお呼びした動機でした。
ソシラボにいるからお会いできた素敵な方。お人柄も魅力です。お子さんを育てながら学びも諦めない、働く女性のモデルになるようなゆりさんはこれからもっともっと活躍されるに違いありません!

次回は、「ソシラボで会えちゃう占い師『占い屋 花』さん」の登場です。お楽しみに!

取材・文 : 吉田 由香 さん(ライター/行政書士)
吉田由香さんの プロフィールライティング代行サービスhttps://writer.yoshidayuka.com/